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ちゆう工房
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        がりがりーくるくる



擦り棒で指示棒の凹凸溝を擦ると、それぞれの回転体が様々な回り方をします。溝の面を変えたり、溝の周位置を変えて擦ると、回る方向が変わります。
指示棒を台に立てたまま押さえて、擦り棒で溝をガリガリ擦ります。台からはずして、「ガリガリとんぼ」のように指示棒をつかんで、横にして擦ってもかまいません。

なぜ?

どんなしくみで、擦る溝の位置を変えると回転体の回り方が変わるのだろう?

a 「うず」
「たてのうず」は支持棒につけた溝の面を変えて擦ることで、「よこのうず」は支持棒のチーク材の部分を回して切り替えることで回り方が変わります。これらの回り方の組み合わせで4タイプの「うず」が見られます。また、「たてのうず」では溝の角を擦ると、「よこのうず」では切り替え位置を中間にして擦ると、揺れるだけでほとんど回らなくなります。
b 「星」
支持棒のリング状の溝を棒に沿って擦ると、それぞれの星が違った回り方をします。また、支持棒を回して、少しずらした位置を擦ると、さらに回り方が変化します。
c 「レインぼう」
「星」と同様に、支持棒のリング状の溝を擦ると、それぞれの棒が違った回り方をし、また、擦る位置を変えると、さらに回り方が変化します。
d 「みつばち」
指示棒に三角柱状に3つの面の溝があり、擦る面によってみつばちや花の回り方が変わります。揺れるだけでほとんど回らないものもあります。
e 「リング・球」
支持棒の溝を擦ると中央の球とリングが逆に回り、リングの球はリングと同じ方向に回ります。別の面の溝を擦ると回り方が逆になります。

       

     

しくみ

伝承玩具「ガリガリとんぼ」の軸を扁平とし、ガリガリと擦った振動方向と軸の扁平の向きによって、回る方向が変わります。

擦り棒で指示棒の凹凸溝を擦ると、扁平軸が振動して回転体の穴に触れ回転体を押します(力F)。このとき、振動方向と軸の扁平面の傾き(θ)によって、回転体は回転力(Fsinθ)と摩擦力(μFcosθ)を受け、 傾きが正のときは反時計方向、負のときは時計方向に回ります。
傾きが小さいと回転力が小さくなり、傾きが大きいと摩擦力が小さくなるため、傾きが0°と90°近くでは揺れるだけでほとんど回りません。

この原理を応用して、4つの基本バリエーションを試作しました。
①支持棒(角棒)の直交する2側面に溝がついていて、擦る面を変えるとプロペラが逆に回ります。
②支持棒(丸棒)にリング状の溝がついていて、溝の周位置を変えて擦ると、プロペラの回る方向が変わったり、回らなくなったりします。
③支持棒の1面のみに溝があり、2つのプロペラを軸の扁平面の傾きを90°ずらして並置しています。溝を擦ると同時に逆に回ります。
④支持棒の1面のみに溝があり、2つのプロペラを同軸上で、扁平面の傾きを90°ずらして配置しています。溝を擦ると、同時に逆に回ります。

「がりがりーくるくる」は回転体をさらに工夫し、変化させたものです。

a「うず」
指示棒を角柱とし、直交する2面に溝をつけています。「たてのうず」の軸の扁平面は溝面と45°ずらしてあり、擦る面によって振動方向が変わるので、回る方向が変わります。「よこのうず」は軸を回して、直接、扁平面の向き変えています。
b「星」
支持棒を丸棒にしてリング状に溝をつけ、擦る周位置によって振動方向が変わるようにしています。星の軸はそれぞれ扁平面の向きを変えてあり、擦る位置を変えると回り方が変わります。
c「レインぼう」
支持棒は丸棒でリング状の溝付です。棒の軸は同軸で、虹色の棒ごとに扁平面の向きを変えています。
「星」と同様、擦る周位置によってそれぞれの棒の回り方が変わります。
d「みつばち」
指示棒は丸棒ですが、溝は3角柱状についています。「みつばち」や「花」の軸の扁平面の向きを、3面の溝に対応して変えてあり、擦る面によってそれぞれの回り方が変わります。また、軸の扁平面と振動方向が平行か直交するときは揺れるだけでほとんど回りません。
e「リング・球」
指示棒は角棒で直交する2面の溝付きです。中央の球とリングの軸の扁平面は直交しており、溝を擦ると逆方向に回ります。リングの球の軸は丸棒にしているので、リングと同じ方向に回ります。

参考
「ガリガリとんぼ(ガリガリプロペラ)」は関連伝承玩具を参照してください。


  扁平軸による「ガリガリとんぼ」         扁平軸による回転の原理
    

 基本バリエーション   

 基本バリエーションの試作例     「うず」の軸面切り替え部


             
こぼれ話
この「がりがりーくるくる」は伝承玩具「ガリガリとんぼ」の原理を調べ、試作しているときに、ふと思いついたものです。
「ガリガリとんぼ」のプロペラが回る原理(関連伝承玩具の「ガリガリとんぼ」を参照)とは違い、軸の扁平面との向きと振動方向でプロペラの回転の仕方が決まるため、 従来の「ガリガリとんぼ」ではできなかった複数の回転体の回転を制御できるようになりました。

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